<日本人が見た中国>映画・ドラマでの日本人役、結末はなぜ“死”または“悲劇”なのか?

Record China    2011年12月15日(木) 8時26分

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中国の戦争ドラマで描かれる日本人役というのは、大半がステレオタイプな悪役がほとんどである。私が渡中して2002〜2006年頃まで演じていたのが正にそれだ。しかし、最近ごくわずかであるが、日本人の内面を描いた役が増えつつある。

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※中国に渡って10年。現在、「中国で最も有名な日本人俳優」と称される矢野浩二氏によるコラム。

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最近、上海で新しいドラマの撮影に入っている。人気インターネット小説が原作のドラマ化で、タイトルは「浮沈」という。ある国有企業が行う総額7億元の企業改革。これを受注しようと、日中の企業が激しい争奪戦を繰り広げる。三者の間に権力・利益・愛憎をめぐる戦いが繰り広げられる社会派ドラマだ。中国ではこの類の社会派ドラマはそれほど多くは作られておらず、圧倒的に多いのは歴史物だ。全体の7割近くを占めるのでないか。

戦争ドラマでの日本人役というのは、大半がステレオタイプな役(勧善懲悪における悪役)がほとんどである。私が渡中して2002〜2006年頃まで演じていたのが正にそれである。しかし、最近ごくわずかであるが、日本人の内面を描いた役が増えつつある。

こちらで活動する20〜30代の日本人の役者も増えた。従来は中国の俳優が奇妙な日本語で演じていた日本人役は、リアリティある日本人役者にとって替わられつつある。そして、それを観た中国の視聴者も、彼らに対して何かを感じるようになっている。

私は過去、いくつものステレオタイプな日本軍人を演じてきた。どこの国で芝居しようが、どんな役を演じようが、悪役であろうが何であろうが「役は役」。そのような役を演じることに、「日本人の恥だ」とか「日本のイメージを下げた」と一度たりとも感じたことはない。

ひとつ、不思議に思うことがある。

中国映画やドラマの中日本人は、ハッピーエンドに終わることは先ずありえない。戦争ドラマの日本軍人役はほとんどが最後に殺される、または自決する。善人役も何本か演じたが、最後には病気で死んだりする。こんな現状を見ると、「日本人役はこうでいいんだ」「日本人役には幸せな結末を与えてはいけない」的な要素が根底にあるのかもしれないと感じる。

実際わたしが2005年当時、まだ必死でステレオタイプの軍人役を演じていたころ、現場の監督がこう言った。「日本人役は、いか残虐卑劣に演じるかだけを考えればいい」。日本の軍人とはいえ現実は当然、残虐な人間ばかりではなく、これは一部に過ぎない人間像だ。しかし、当時の自分はそれをただ聞くだけしかできなかった。のちに、「浩二、辛い役ばかりやらせて申し訳なかった。これからは自分のやりたいと思える役だけやれ」と、ある中国人監督が心から諭してくれた。

現在撮影中のドラマは、台本の中の日本人描写も納得できる部分が多くある。果たして、今回の結末は如何に?

●矢野浩二(やの・こうじ)

バーテンダー、俳優の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中国ドラマ「永遠の恋人(原題:永恒恋人)」に出演し、翌年に渡中。中国現地のドラマや映画に多数出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める。現在、中国で最も有名な日本人俳優。2011年、中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優秀外国人俳優賞を日本人として初受賞。中国での活動10年となる同年10月、自叙伝「大陸俳優 中国に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。

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