<直言!日本と世界の未来>朝鮮半島統一へ“民族自決”を支援したい―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2018年1月21日(日) 6時50分

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平和の祭典オリンピック・パラリンピックの平昌冬季大会が迫ってきた。韓国と北朝鮮は、2月9日の開幕式に朝鮮半島を描いた統一旗を掲げて合同入場するほか、女子アイスホッケー競技に南北合同チームで出場することで合意したという。

平和の祭典オリンピック・パラリンピックの平昌冬季大会が迫ってきた。韓国と北朝鮮は、2月9日の開幕式に朝鮮半島を描いた統一旗を掲げて合同入場するほか、女子アイスホッケー競技に南北合同チームで出場することで合意したという。さらに北朝鮮は五輪に約230人の応援団を派遣、南北のチームが出場する競技などを応援するらしいが、喜ばしいことである。さらに、両国は五輪開催前に北朝鮮の金剛山地区で合同の文化行事も開催するというから、友好ムードが広がる可能性がある。

もともと韓国と北朝鮮は同じ民族。ところが、米国、中国、旧ソ連(現ロシア)など大国の思惑から、分断を余儀なくされた。かつて朝鮮半島を併合し、忍従を強いた日本にも大きな責任があろう。南北政治体制は異なっても、民衆の思いは同じである。戦後の国際社会は国連はもちろん欧米や日本はじめ“民族自決”が普遍的理念である。いち早く統一を果たしたドイツと同様に、一刻も早く「民族統一」が果たせるよう、温かく見守り支援したい。

今回の北朝鮮の融和姿勢について、日米韓の専門家やメディアなどの間では、米韓関係にくさびを打ち込んで距離を置かせつつ、最終的には米国との直接対話で体制保証を取り付けるための「時間稼ぎ」の手段との冷めた見方も一部で出ているようだ。北朝鮮の核開発が抑止されるという保証もない。

しかし、平昌冬季五輪の期間中は、少なくとも米国の北朝鮮攻撃は回避される。この南北融和ムードを材料に、米国や日本の株式市場ははやされ、活況を呈している。万が一、軍事衝突があれば多くの命が失われ、世界経済は大混乱に陥ってしまう。地球上の多くの人々が平和を希求している。

1月16日にカナダのバンクーバーで開かれた20カ国外相会合で、南北協議と融和機運が歓迎され、共同議長国のフリーランド外相が北朝鮮問題について、「外交的な解決が可能であり不可欠だと信じている。それが今日の会合の結果だ」と述べ、「北朝鮮の平昌五輪参加は希望の星だ」と強調したと報じられているが、当然のことであろう。

スポーツや文化に国境はない。特に南北朝鮮の同胞が友好の火を灯すよう願いたい。この機会に米朝間でも、対話のテーブルに着き、現実的な落としどころを見い出すことを願いたい。ここまで来てしまうと、北朝鮮の核開発を実質的に抑える方策を探るべきだろう。

<直言篇39>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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