<インタビュー>日中の経済交流深化が相互発展と平和につながる―安斎隆セブン銀行代表取締役会長(1/2)

Record China    2010年7月28日(水) 6時25分

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日中間の課題を民間レベルで話し合う東京・北京フォーラムの実行委員長を務める安斎隆セブン銀行会長はインタビューに応じ、「世界各国との間の水平分業の枠組みに日本も中国も入っていたことが大きな成長をもたらした」と指摘した。

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日中間の課題を民間レベルで話し合う東京・北京フォーラムの実行委員長を務める安斎隆セブン銀行会長はインタビューに応じ、「世界各国との間の水平分業(複数の国・企業・グループが業務を分業的に担当すること)の枠組みに日本も中国も入っていたことが大きな成長をもたらした」と指摘。その上で「保護主義やナショナリズムを排して経済交流を促進すればさらなる平和的発展につながる」と強調した。

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―東京・北京フォーラム実行委員長としての基本的な方針は?

僕は小泉純一郎首相時代に靖国問題で日中が冷え切った状態の時から中国に行って何とかできないか、民間でパイプができないかと提案した。当時、中国では反日運動まで起こった。双方の言い分があるが、パイプを閉ざしては必ず行き詰る。お互いにナショナリズムに訴えるようなことは避けなければならない。

もともとそういう発想が「政冷経熱」の前、何年も前からあった。その必要性は日本銀行時代の先輩の前川春雄さん(元日銀総裁)さんからよく聞いていた。政府ではない中央銀行同士でパイプを持つことが必要だ、戦争が起きても中央銀行同士は連絡し合っていたとね。日銀広報担当のころから、そういう話を聞かされ、国レベルだけが外交ではない。外交が行き詰った時でも、中央銀行にもそういう役割があるとBIS(国際決済銀行:世界の中央銀行の中央銀行的役割)の話等も聞いていた。私は香港駐在だった時に、戦前に同盟通信(時事通信、共同通信の前身)にいた松本重治さんの著書「上海時代」を読んで、その活躍に心を動かされた。私と同郷の福島県二本松に生まれの朝河貫一元エール大学教授(日本が生んだ世界的歴史学者。太平洋戦争前、日米両国の平和を追求し、「平和の提唱者」として米国からも高く評価された)からも大きな影響を受けた。こうした経緯から言論NPO代表の工藤泰志さんと一緒に東京・北京フォーラムをスタートさせた。

―中国の状況をどう見ますか?

中国がどうして成功したかというと平和であったからですね。平和の中で改革開放を実現し世界の間の水平分業の枠組みに日本も中国も入っていたことが大きな成長をもたらした。このことがさらなる平和を呼び込むわけです。技術革新により工業化が進み民度が上がる中で、為政者が力でリードするのは難しい時代となっている。しかし基本を間違えなければ文明が発展する。アダムスミスの理論が生きている。

先日、英国とフランスにIR活動に行った際に英国のエジンバラを訪ねた。英経済学者アダムスミスの銅像があり、スミスの理論(国富論)を再認識した。彼の古典的な経済の発展の理論が日本、中国で具現化してきている。市場が拡大するほど(得意分野を分担させる)水平分業が必要になり、お互いに、そして世界全体が豊かになっている。

―お互いに国民本位で考える必要があるでしょうね。

それで世界は発展する。いま世界はサブプライムローン不況に始まって危機的状況から未だ脱していないが、自国製品を優遇する保護主義に走ってはダメだ。しかしそういう傾向が出ているのは懸念すべきことです。

「<インタビュー>世界経済発展へ保護主義排除と地球環境面の国際協力を!―安斎隆セブン銀行代表取締役会長(2/2)」に続く。

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