国際人材の活用を、「日本は2度と嫌」と言われぬよう無資格ガイド取締りを―青木福岡県留学生センター長

Record China    2010年2月22日(月) 13時58分

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2010年2月、観光庁の「通訳案内士制度の在り方検討会」委員の青木麗子福岡県留学生センター長はこのほど、検討会の議論に関連して、留学生をはじめ国際人材を観光のみならずビジネス全般において活用することは日本の国際化に避けて通れない命題だと強調した。

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2010年2月、青木麗子福岡県留学生センター長はこのほどレコードチャイナのインタビューに答え、観光庁の検討会で話し合われている「通訳案内士(通訳ガイド)制度」について、留学生をはじめ国際人材を、観光のみならずビジネス全般において活用することは日本の国際化にとって避けて通れない命題だと強調、中国などから来日し苦学している留学生の能力を、来るべき「大観光時代」の中で生かすべきだと訴えた。また、アジア地域からの無資格ガイドツアーなどガイド業界を取り巻く厳しい環境については、供給側と使う側の連携をとって組織化するとともに、「もう2度と日本へ行かない」という声が外国人旅行者から出ないよう、団体ツアーにおける有資格ガイド添乗を「国全体の法整備の問題」として徹底するよう求めた。

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インタビューの詳細は以下の通り。

◆◆◆◆◆

1)留学生をはじめ国際人材を、観光のみならずビジネス全般においても活用することは日本の国際化にとって避けて通れない命題だと思う。現在、国内にいる留学生は平均で6〜7割がアジアから、そのうち9割は中国人だ。自費留学が増えており、彼らは経済格差がある国から来て、皿洗いなど単価が低くきつい仕事をし苦学している。彼らが留学終了時に本当に日本を好きになりファンになって帰ってくれるかと考えると心が寂しくなる。

来るべき「大観光時代」の中で、彼らの能力を生かすことができないかと考え、通訳ガイド制度の検討会に臨んでいる。

2)(通訳ガイドはワーキングプアとも言われるが)それは通訳の業界も同じで、それだけで生計を立てている人は本当に一握り。日本では、ガイド有資格者や通訳の知的労働に対してそれに見合った対価を払うべきと認識している人が少ない。

もう一つ、働きたいという供給側と使う側の連携がきちんと取れず組織化されていないのでニーズがあっても供給されないジレンマがある。

(現在アジア地域からの日本ツアーの9割以上が有資格者を使用していない問題については)法的な整備をきちんとする必要がある。中国では「ゼロ円ツアー」といって香港、タイなどに旅行すると現地で土産物屋に閉じ込められ「本当にひどい目に遭った。もう2度と行かない」という友人がいる。日本への旅行がそうなってはいけない。

(アジアからの旅行者にとっては日本のガイド料金が高いという指摘があるが)そもそも、日本みたいに物価が高いところに貧しい人は来ません。現実には、中国からもお金持ちがたくさん旅行に来ています。10人とか、15人以上というまとまったツアーで来たらちゃんとしたしたガイドをつけないとダメという国全体の法整備の問題としてモノを考えるべきだ。

3)(ガイドの地域的偏在について)福岡などの地方では、滞在費など経費がかさむのでガイドをスルー(ツアーに同行して移動する添乗形式)で使うケースは少ない。ガイドの現地調達が多いので、東京、大阪などの大都市とは事情が違う。ガイドの地域的偏在を補うためには、西日本を1組織にするなどブロックに分けて供給のルールを整備すべきだ。現在は通訳案内士の制度があっても有資格者をどう活用するかのルールがない。

4)(ガイドの質と案内士制度について)会議でも発言したが、ガイドの質の問題は、通訳でも質の悪い者はいっぱいいる。資格よりも資質を重んじて行かなければならない。外国人旅行者が訪日して最初に触れるガイドによって日本のイメージが固まってしまうのだから、大学受験のように点数だけではなく、社会全体に通用する人材を人間重視、人柄重視で選抜してはどうだろう。

その際、外国人相手にはその相手をするに足りる語学能力が大事だ。ガイド制度を温存するなら語学能力にウエイトを置き、そうでないなら「国際言語案内士」として、留学生などもレベルに応じて市場に参入できるよう資格を別に作ってはどうか。

5)留学生の皆さんには、せっかく日本に来ているのだから、その文化、歴史、社会について良く学んで帰ってほしい。私自身も中国に10数年住み、人々の歴史や心、文化、価値観を一生懸命学んできていま日中をつなぐ仕事の武器にしている。そういう視点を持って自分のために多くの日本人と触れ合い,色々なことを学び、大学での知識以外にも日本社会に対する理解を深める努力をしてほしい。(インタビュー・三木)

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