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<映画の中のチャイナ>むしろ満載の「ジャパン」要素が見所〜台湾No1映画「海角七号」

配信日時:2009年10月5日(月) 13時39分
<映画の中のチャイナ>むしろ満載の「ジャパン」要素が見所〜台湾No1映画「海角七号」
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09年10月、台湾映画「海角(かいかく)七号/君想う、国境の南」(ウェイ・ダーション=魏徳聖=監督)の日本公開が2010年「新春」に決まった。やはりこの映画に満載されているのは「日本」だと素直に考えた方が分かりやすい。
2009年10月、台湾映画「海角(かいかく)七号/君想う、国境の南」(ウェイ・ダーション=魏徳聖=監督)の日本公開が2010年「新春」に決まった。「台湾=チャイナ」とすると、全編ほぼ100%チャイナだが、それでは面白くないので、あえて台湾を除くチャイナ要素に焦点を当てた。すると、意外にチャイナファクターは多くない。

まず目につくのは終戦時日本人が引き揚げる輸送船の警備をしている大陸系と思しき兵士。
大陸系の兵が入っていても、終戦時、他の中国大陸各地などで起きたほどの激しい反発や混乱は起こらず台湾在住の邦人はほとんど無傷で帰国できたという。この辺りが日本と台湾との結びつきの特殊性をひしひしと感じさせる。

映画のパンフレットにこんな当時の地元紙の文章が紹介されている。
「日僑今や天地回りて国に去る。天を恨まず、地に嘆かず。黙々として整整と去る…日本人恐るべし」
本当に恐るるべきは静かに去る事を許してくれた台湾人だった。

次に言語。台湾映画なのに、不思議な日本語ナレーションが最初からついているのに加え、現地で使われる言葉は台湾語(福建語、ミン南語)という中国語の方言だ。香港の広東語と同様、改めて学ばないと大陸の中国人でも簡単には聞き取る事ができない。

その台湾語につく日本語の翻訳は、北京語系の標準中国語と区別するため、字幕にも印がつく。中国語の区別に縁のない日本人にとって気づきにくいことだが、台湾人の皮膚感覚でも地元の言葉と標準中国語は異なるという明確な意思表示である。

ちなみに本編の主人公である友子は標準中国語しかできないため「台湾語で話されても分からないのよ!」と切れる場面がある。

三つ目は何だろう…。台湾的な要素を除外すると、意外に見当たらないものだ。

▼満載されている「ジャパン」ファクター
やはりこの映画に満載されているのは「日本」だと素直に考えた方が分かりやすい。
 
映画が始まる早々、意表をつかれるような形で日本の歌を聴かされる。主人公の一人は海外で働くモデル志望の日本女性。南の果ての街で開かれる地域興しのイベントの目玉は台湾で大人気の日本人歌手、等等。そしてメインテーマとなるのは台湾女性に宛てられた七通の長く投函されなかった日本人からのラブレター。

こんな日本だらけの映画が台湾映画最大のヒットを飛ばし、洋画を含めても世界最大ヒットの「タイタニック」に迫る興行収入を上げた。
でも魏(ウエイ)監督は留学生など日本人の友人がいるそうだが特別に日本に縁が深いわけではなさそうだ。決して日本と特別な関係にはなく、普通の台湾人感覚の監督が撮った映画がここまで日本にフォーカスしていることを日本人は改めて注目すべきだ。

素材だけではなく料理法も的確だ。
「日本」と並ぶ本作の売り・音楽は冒頭から台湾の人気歌手ファン・イーチェンの歌で始まり、日本の歌、伝統楽器の演奏、中(あたり)孝介の歌とてんこもりだが、うるさすぎはしない。

登場人物はそれぞれに、過去も個性も持ち魅力的だ。日本女性の友子は海外でキャリアを積もうという、意欲的だが大きなストレスと戦って傷つき、時に爆発する。そんな中でも一押しは、郵便配達夫だが国宝級の伝統楽器奏者である茂(モー)さん。彼の強烈な存在感なしでは本編の人間関係の面白さは半減しよう。

◆◆◆◆
十数年前、台湾の李登輝総統による無血革命とも言える「改革」を取材していた時、「台湾ではエリート層はアメリカに留学してしまい、日本語ができる知日、親日派は近いうちにいなくなる」と言われた。
実際には、台湾には日本好きのハーリー族という若者が生まれ、こんな映画が最大のヒットを飛ばして日本に乗り込んできた。
少しでも台湾に縁がある人には必ず見てもらいたい作品だ。
<映画の中のチャイナ5>(文章:kinta)

訂正:当初公開の時期を「お正月」と書きましたが、発表元によると、業界用語で「新春」と発表された時期は「映画表記としまして通常12月もしくは1月をさす」そうですので訂正しました。
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