<このごろチャイナ・アート&A>話題の本「北京再造〜古都の命運と建築家梁思成」―中国・コラム

Record China    2008年12月9日(火) 15時53分

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08年12月、最近の中華圏における「アートそしてアーキオロジー(考古学)」に関する動きを、レコードチャイナの写真ニュースを軸に紹介。不定期。今回は話題の本「北京再造」。写真は08年、中国の建国59周年の日の天安門広場。

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2008年12月、<このごろチャイナ・アート&A>は最近の中華圏における「アートそしてアーキオロジー(考古学)」に関する動きを、レコードチャイナの写真ニュースを軸に紹介。不定期。今回は話題の本「北京再造」を紹介。

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「北京再造〜古都の命運と建築家梁思成」

王軍著、多田麻美訳

 (発行;集広舎、発売:中国書店、4830円)

戊戌の変の指導者のひとり梁啓超の長男として日本で生まれ、1950年代に古都北京を保存する都市計画プランを提出した建築家・梁思成。彼には第二次世界大戦中、米ハーバード大学の指導教官だったラングドン・ウォーナー教授とともに米軍に対して京都、奈良を保護するよう提案した逸話もあるという。

「北京再造〜古都の命運と建築家梁思成」は、中国の国営新華社通信の記者だった筆者が、極めて敏感な当時の政治情勢についても正面から触れながら、歴史的な証拠や証言に基づいて北京市の都市計画の流れと歴史の激流に押し流された、梁思成の発想と行動について追った労作だ。

「中国建築史の父」的な存在である建築家は、都市計画の立案も城壁の保護に代表される歴史建築物の保護も思うようには進まず、失意の中で世を去った。しかし、本書で描かれている毛沢東など当時の中国の権力中枢に対しても臆することなく、古都保存の重要性について繰り返し説得を試みる様子は外国人にとっても痛快な驚きを感じさせる。そのためか、都市計画、文化財保護に関する専門性の高い本にもかかわらず中国で03年に発行されると反響を呼び、第7刷、7万部まで売れたという。

「北京の景観はすでに取り返しのつかないほど破壊されている」とも言われる。中国では08年の北京五輪を契機に都市環境や文化財保護についても改めて議論が沸き起こっている。

「北京の庶民にとってみれば、胡同や四合院を除けば、城壁以上に彼らが親しみを抱いたものはない。紫禁城は皇帝のものであり、王府は皇帝の親戚のものだった」(p294)という城壁の存在感。その城壁に沿って地下鉄が建設され破壊されるなど、古からの文化財でもあるこうした歴史的建築物が「新中国建設」に向かう政治リーダーの思惑によって破壊されてきた様は、日本の明治期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)や、近年ではアフガニスタンのバーミヤンでの巨大仏像爆破などをも想起させる。

中国国内ではつい先月、重慶市万州区の岩壁に「光る神像」が現れたとして、住民数千人が集まって線香を上げ爆竹を鳴らして礼拝するなどの騒ぎとなったため、その「神像を爆破し混乱の元を断つ方針を固めた」というバーミヤンをほうふつとさせる地方政府の反応がRecord Chinaで伝えられたばかりだ。

新たな思想や政治体制を作り出し維持するために、文化破壊は必然なのか。そうした時代の潮流の中で、歴史的な遺産の重要性を叫び戦い続けることの意味を考えさせられる。(文/Kinta)

■プロフィール Kinta:大学で「中国」を専攻。1990年代、香港に4年間駐在。06年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大学のコラボによるpostgraduateコース(1年間)を修了。08年「このごろチャイナ」を主体とした個人ブログ「キンタの大冒険」をスタート。

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