<在日中国人のブログ>ノーベル賞と縁の遠い母国

配信日時:2008年10月9日(木) 14時11分
<在日中国人のブログ>ノーベル賞と縁の遠い母国
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中国系米国人のロジャー・チェン氏の、2008年度ノーベル化学賞受賞が決定した。続く平和賞の受賞は中国籍の中国人が受賞するとも言われている。しかし、中国国内の反応は非常に薄いもので、わたしは複雑な心境になった。写真は中国系の歴代ノーベル賞受賞者たち。
昨夜、街中で号外が配られていた。日本人の下村脩(しもむら・おさむ)氏とともに、ロジャー・チェン(中国系米国人、中国名は銭永鍵)ら3氏の、2008年度ノーベル化学賞受賞が決定したとの内容だった。帰宅する電車で読みながら、わたしは複雑な心境になった。

帰宅後、中国のニュースサイトをチェックすると、大部分のメディアはTOPニュースでロジャー・チェン氏を紹介していた。チェン氏の父のいとこは中国ロケットの父として知られる銭学森(チエン・シュエセン)氏であるという事実を明かしながら、中国メディアは中国系研究者のノーベル賞受賞を大々的に伝えている。しかし、普段ならこの手のニュースはもっと盛り上げるはずなのに、今回の中国国内のネットユーザーの反応は、結構冷静なものだったようだ。ロジャー・チェン氏を含め、これまで7人の中国系研究者がノーベル賞を受賞しているが、中国国籍を保持しての受賞は1人もいないからである。

2000年、高行健(ガオ・シンジエン、1940年〜)氏が、中国語で執筆する作家として初のノーベル文学賞を受賞した。当時、中国の大学で文学を勉強中だったわたしは、いささか興奮してそのニュースを受け止めたが、「人民日報」を含め、国内のメディアは短いニュースと彼の略歴を淡々と報道したにとどまった。その理由は明白である。高氏は1989年の天安門事件後、『逃亡』(1990年)を発表して政治亡命を果たし、1997年にはフランス国籍を取得した。国内では彼の作品は一時発禁となっており、わたしたちには彼の作品を読む機会さえなかったのだ。

もし仮に、ダライ・ラマ14世が自身を「中国籍」と認めるのであれば、彼がノーベル賞を受賞した初めての中国人となる。同氏は1989年、世界平和やチベット宗教・文化の普及に対する貢献が高く評価され、ノーベル平和賞を受賞した。もちろん彼が受賞した事実は、わたしは来日後に初めて知ることになる。中国国内では、この事実は報道されなかったのだ。

さらに皮肉な話、北京五輪が開催された今年、ノーベル平和賞は2人目の中国人に送られることになりそうだ。もし、ダライ・ラマ14世が自身を中国人と考えないなら、中国人の市民活動家・胡佳(フー・ジア)氏が中国人として、ノーベル平和賞受賞の第1人者となるわけだ。中国人が平和を尊ぶということが世界に認められるものの、彼自身は受賞式に出席すらできないであろうことは断言できる。まして、中国の一般人もこのニュースを知ることさえできないだろう。なぜなら彼は2007年末に国家政権転覆扇動罪の罪状で逮捕され、3年6か月の禁固刑を言い渡されているからだ。(33歳男性/在日4年/会社員)

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