<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・日本代表を迎える!天津行き高速鉄道が開通…体験レポート

Record China    2008年8月4日(月) 21時47分

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市民が待ちに待った都市間交通の「要」がようやくスタートした。北京と天津を30分で結ぶ高速鉄道が今日、運行を開始。午前中には発着駅となる北京南駅と天津駅で開始式典が行われた。写真は北京南駅構内と列車。

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市民が待ちに待った都市間交通の「要」がようやくスタートした。

北京と天津を30分で結ぶ高速鉄道が今日、運行を開始。午前中には発着駅となる北京南駅と天津駅で開始式典が行われ、その後、天津からは昼12時25分、北京南駅からは12時35分にそれぞれ第1便が発車した。両便ともチケットは前日で売り切れており、満員の乗客とともに、スタートを祝った。

北京・天津間は、かつて「近くて遠い都市」であり、わずか120キロほどしか離れていないにもかかわらず、交通が不便だった。自家用車かバスで高速道路を走れば、少なくとも1時間半〜2時間ほど。また列車も同じくらいの時間がかかり、しかも一日数本しか運行しておらず、日帰りさえ不便な場所となっていた。

しかし、去年から同区間に高速鉄道が走り、北京駅と天津駅を1時間で結び、高速化の幕は開けた。さらに、8月1日から、最高時速350キロの鉄道が30分で結び、ラッシュ時で15分おきに発車するようになり、天津・北京が「日帰り圏」どころか、「通勤圏」になった。その意味で、両都市にとって、画期的な出来事といえるだろう。

私もこの記念すべき列車に乗るべく、発車駅の北京南駅に向かった。文字通り、北京南側にあるこの駅は、もともとは地方行きの列車の発着点となっていたが、交通の要所となっている北京駅、北京西駅と比べると決して規模の大きい駅ではなかった。しかし、この高速列車の運行に向け、大規模な建て替え工事が行われ、てんとう虫型の近代的なデザインの駅に生まれ変わった。

厳しくなっている安全検査を抜け、中に入ると、まるで空港のようなつくり。各列車によって、改札口そのものが異なり、それぞれの表示にしたがって、15分前から改札が始まる。

チケット売り場は外国人向けや五輪向けなどがあり、われわれにも優しい。また自動券売機も設置されているので、中国の切符売り場で毎回うんざりする「押し合いへし合い」がなく、スマートに切符が買える。

記念すべき「第1便」に乗る…

改札を終え、ホームに降りると、列車がすでに入構して、我々を待っていた。以前の「D号」と呼ばれた高速列車と見た目はまったく変わらない。

だが、初日ということもあって、中は清潔に保たれており、気持ちよく、乗車できた。

2等車、58元(約800円ちょっと)

1等車は69元(約1000円)、2列シートで幅も広く快適。車掌さんも少し丁寧に扱ってくれる(ような気がする)

発車から15分ほどで、今日の最高時速349キロに到達。その後、徐々にスピードを下げていき、30分ちょうどで天津駅に到着した。あの1時間半かけて向かっていた道のりがいったいなんだったのだろうと拍子抜けしてしまうほどの時間である。

天津駅も、真新しく改築され、今日がお目見え。こちらも北京南駅に負けず劣らず、中はモダンな作りで都会的な雰囲気だ。一方、外観は何となくノスタルジックを感じさせるもので、このギャップが何ともいえない。

新駅初日とあって、多くの天津市民が見学に…

バスターミナルも新設され、真新しいバスが何台も並んでいた。聞けば、全て今日が「使い初め」なんだそうだ。今日から、路線番号とコースが全く変更になったため、乗客も少し戸惑いながら、乗車しているようだった。

天津市は日本代表も試合を行うことになっているサッカー会場。北京と同じく、市内には五輪マスコットの人形やポスターにあふれ、あちこちに五輪をテーマにした花壇が作られていた。

また今日から、天津市では聖火リレーも始まっており、天津駅の前はリレーに備えて、コースが作られていた。ここもオリンピックムードがぐんぐん高まっている様子を感じ取れた。

今月7日と10日、この天津のオリンピックスタジアムで、サッカー日本代表が戦うことになっている。観戦を予定されている方も多いだろう。また北京にいったん入って、天津に、と考えている方もかなりいると思う。異国、しかも何かと不便の多い中国で、都市間の移動について不安に思ってらっしゃる方がいるかもしれないが、こと天津行きに関しては、全く問題ないといえよう。本数もかなりあるので、少し早め(3日前から発売)に手に入れることを心がければ、ほぼ問題なさそう。ただ大会期間中は、想像できないような事態も起こりうるので、絶対とはいえないが…。

天津での観戦の際は、ぜひ、北京市民“悲願”の高速鉄道に乗車することも考慮に入れて、プランを立ててほしい。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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