神鋼から三菱まで、日本企業の「一線超え」の根源は―中国メディア

人民網日本語版    2017年11月28日(火) 21時10分

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先月に神戸製鋼所がデータ改ざん問題で不祥事に沈んだのに続き、日本の非鉄金属大手・三菱マテリアルもこのほど製品データの改ざんが発覚した。一体、原因は何か。かつて「匠の精神」で世界から高い評価を受けた日本の大企業が「集団崩壊」しつつあるのはなぜか。

先月に神戸製鋼所がデータ改ざん問題で不祥事に沈んだのに続き、日本の非鉄金属大手・三菱マテリアルもこのほど製品データの改ざんが発覚した。一体、原因は何か。かつて「匠の精神」で世界から高い評価を受けた日本の大企業が「集団崩壊」しつつあるのはなぜか。解放日報が伝えた。

▽問題発覚に早くから予感

このたびの三菱マテリアルの改ざん問題は、神戸製鋼所と同じパターンで、「そっくりさん」などと形容できる。同じようにデータを改ざんし、同じように顧客に迷惑をかけ、同じように情報を公開しなかった。

西側メディアの多くは、日本で新たな不祥事が発覚しても驚かないという。英国放送協会(BBC)には先見の明があったようで、日本の製造業の不正行為はこれから続々と発覚するだろうと伝える。2つの要因が製造業企業の「一線越え」を促すからだという。それは日本企業が海外のライバルから圧力増大に直面していること、日本で2006年に施行された「公益通報者保護法」が不正行為発覚の可能性を高めたことだ。

▽「手抜きごまかし」が行われるまで

日本の大企業は一体どうやって今日のような「手抜きごまかし」や「嘘インチキ」の状況に至ったのだろうか。

日本のアナリストは、「1990年代以降、国内の経済成長が長期的に低迷したことが主な要因だ。日本企業はビジネスモデルの改変を迫られ、ズルをすることをためらわなくなった」と話す。

20年前、日本企業は成長戦略に精力を注いでいた。その後徐々に、これからは経済の力強い成長はないということを認識するようになった。つまり企業は再編、コスト削減、効率向上に集中的に力を入れなければならなくなったということだ。東京の富士通研究所のマルティン・シュルツ上席主任研究員は、「効率向上の努力が管理職に功を焦り利を求めさせるようになる。品質管理コントールの最低ラインを破ることさえいとわなくなる」との見方を示す。

ここからわかることは、日本ブランドはニッチ市場で生き残りの可能性を見いだそうとし、成功を焦って業績を粉飾し、これが日本製造業のここ数年間断なく聞こえてくる不祥事を生み出す根源となったということだ。

上海国際問題研究院の呉寄南研究員は、「スキャンダルの頻発は日本製造業の企業文化、労働力クラスターの構造的変化と大きな関係がある」と指摘する。

企業文化をみると、これまで製造業は「現場主義、品質最優先」を重視していたが、ここ数年は諸々の原因により、利益至上の考え方が突出してみられるようになり、企業は利益を求めて「手抜きごまかし」や「嘘インチキ」をためらわなくなり、企業文化が変質した。また一方で、日本企業の内部は階級が厳格で、レベルが細かく設定され、フラットな管理が行われない。こうした「大企業病」が基層レベルの第一線で起きた多くの問題を最上層部に伝えることを阻んでいる。情報が上から下まで届くのに時間も労力もかかり、初めはささいだった問題が大問題へと発展しやすい。

労働力クラスターの構造的変化をみると、同じ仕事をしながら賃金の異なるパートや派遣社員を大量に採用していることが大きな問題だ。20年前には、製造業の第一線で働くパートは労働力全体の20%を占めるに過ぎなかったが、今は約80%だ。パートの賃金は正社員の3分の2から半分ほどというのが一般的で、企業の経営状況が悪化すれば、真っ先にクビを切られる。こうした状況の中、パート労働者は帰属感を得られない。日産自動車で発覚した大勢の無資格者に出荷前の完成車検査を行わせていた不祥事が、こうした問題を如実に物語る。

▽安倍首相への警鐘

日本企業の隠蔽や虚偽の報告などは、日本企業の管理監督能力の低下、「身内の恥を公表しない」という通弊をありありと示している。

上海対外経貿大学日本経済研究センターの陳子雷センター長(全国日本経済学会副会長)は、「日本企業には『大きな問題を小さく食い止め、小さな問題を解消する』という潜在的ルールが欠けている。企業の欠陥を公表する人は巨大な圧力を受けていることが多い。そこで上の人の顔色をうかがって暗黙の了解を得、『内部消化』という方法で『それほど深刻でない問題』を処理するのが、中〜低クラスの社員から一種の合理的な選択とみなされるようになる。これは一つの側面から、市場モデルに従うよりも政治的立場などさまざまな利益のバランスを重視するという日本企業の経営の実態を映し出している。家族的な管理を行うため市場のニーズに基づいて迅速な調整を行うことが難しくなり、グローバル化時代の千変万化する経営局面と大きくずれていく」と指摘する。

陳センター長は、「『団塊の世代』は1960年代中期に日本経済の飛躍をもたらした主力とみなされているが、今の日本は少子高齢化の問題に直面し、これに企業文化、経営管理モデル、社員の構造、雇用制度の変化といった総合的要因が加わり、今まで光の輪の中で隠れて見えなかった問題が徐々に表面化している」と説明する。

呉研究員は、「日本企業の不祥事は一種の集団的現象であり、安倍晋三首相に対する警告だ。『アベノミクス』が行われてから数年、日本の株式支持王は25年ぶりの高値を記録し、円相場は値下がりして輸出企業に利益をもたらしたが、日本企業が内部にため込んだ200兆円を超える資金を直接投資に回そうとしないこと、社員の給料を上げようとしないことが大きな問題だ。これは安倍政権がもたらした悪い結果だとある程度言える。表面的な経済データの好調さだけを重視して、一連の経済の深層レベルを表す指標、たとえば第一線の正社員率や職業技能訓練への投資などは軽視しているのだ。こうした問題が日本の製造業のモデル転換期における苦境や『再興』の足踏み状態をさらに長引かせる可能性がある」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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