日本の人気小説、映画の中国版映画製作 文化の違いを乗り越えることが課題

人民網日本語版    2017年11月23日(木) 13時20分

拡大

中国の映画市場では、作品のおもしろさを求める声が日に日に高まり、加えて中日文化交流が一層盛んになっているのを背景に、日本の人気小説や人気映画、ドラマの中国での映画化、リメイク版製作の権利が、中国の映画製作会社の間で人気になっている。

中国の映画市場では、作品のおもしろさを求める声が日に日に高まり、加えて中日文化交流が一層盛んになっているのを背景に、日本の人気小説や人気映画、ドラマの中国での映画化、リメイク版製作の権利が、中国の映画製作会社の間で人気になっている。ただ、両国の文化には違いもあり、その違いをいかに克服した作品作りをするかが、注目すべき課題となっている。(文:張曦。中国新聞網掲載)

■文化の違いをどう埋める?中国人の感情に合わせる

韓傑監督がメガホンを握った「ナミヤ雑貨店の奇蹟」も、日本の著名な作家・東野圭吾の人気小説を原作としている。

東野圭吾の代表作の一つでもある「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は今年、日本と中国でそれぞれ映画化された。日本版は、公開1週目で興行収入ランキングのトップに立った。そのため、12月29日に公開される中国版への期待も高まっている。

中国版映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の製作について、韓傑監督自身は難しいとは感じておらず、「両国の文化には相通じるものがある。そのため、青春激励型にし、中国人の感情に合わせたものにするという2点に注意した」と話した。

この2点に着目した上で、脚本チームは原作のストーリー、登場人物、出来事などに調整を加え、「純中国」の物語にした。例えば、男性3人だった主人公を男性2人と女性1人に変え、登場するレコードもビートルズのものからマイケルジャクソンのものに変えた。

脚本チームのメンバーの一人・宋嘯如氏は、「日本にも特有の文化、社会環境、人のタイプがある。それを、そのまま中国の物語に取り入れると、中国人にとってはおもしろさがなくなってしまう。それでも、今回の作品の核となっているのはやはり『ナミヤ雑貨店の奇蹟』」と説明した。

■年代の違いをどう埋める?名作の再映画化にチャレンジ

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と類似しているのが、呉宇森ジョン・ウー)監督がメガホンを取った「追捕(MANHUNT)」だ。

同作品をめぐっては、高倉健主演の1976年の映画「君よ憤怒の河を渉れ追捕」のリメイク版製作権を手に入れることができなかったため、呉監督は原作となった小説の「君よ憤怒の河を渉れ追捕」の再映画化権を購入した。

呉監督は、「この映画をどうしても撮りたかったのは、高倉健を記念し、敬意を表したかったから。76年版の映画はかなり前の作品で、中国人が見て隔たりを感じることがないように、かなり変更を加えた。『追捕(MANHUNT)』では、76年版の影を見ることもできるし、新しく創作した部分を見ることもできる。でも、物語の背後にある精神は同じ」と説明した。

張涵予と福山雅治が共演する「追捕(MANHUNT)」

原作小説にしても、76年版の映画にしても、そのアクションシーンが多くの人の記憶に刻まれている。呉監督によると、「追捕(MANHUNT)」では最新のアクションを取り入れているという。例えば、張涵予(チャン・ハンユー)と福山雅治が一つの手錠でつながれるシーンがある。そして、二人とも片手で拳銃を持ち、『2丁拳銃』の状態になっている。

■密なコミュニケーションを通して互いの文化を深く理解し合う

陳凱歌(チェン・カイコー)監督はこのほど、12年ぶりのファンタジー大作となる「空海−KU-KAI−(中国名:妖猫伝)」のメガホンを取った。同作品も日本のファンタジー小説家・夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を原作としている。原作を忠実に再現しようと、陳監督は、夢枕獏とできるだけ意思疎通を図った。

陳監督は、「自分をすごく熱くさせてくれる製作の原点は、原作の作者だ」と何度も話している。夢枕獏は陳監督に以前、「若い時、唐の時代に生活したらどうなるのだろうとよく考えていた。バックパッカーとして中国の西安に行った時は、涙が止まらなかった」と話したことがある。

「空海−KU-KAI−」のロケ現場で考え込む陳凱歌監督

クランクイン前、陳監督は夢枕獏をロケ地に招いた。その時のことについて、夢枕獏は、「ロケ地を歩いている時、涙があふれ出てきた。30過ぎの自分はまだ、作家としての仕事がちゃんとできるかも分からない。そんな時に中国文化に興味を持った。だから、セッティングされたロケ地を見て、いろんな思いが交錯した。セッティング中のスタッフに、『私にもレンガを積ませてほしい。私もセッティングに参加したい』と伝えた」と振り返った。

密なコミュニケーションを取ることで、双方が互いの文化をよく理解することができた。夢枕獏は陳監督について、「中国文化・歴史を深く理解している」と評価すると、陳監督も、「いい合作映画を作るための愛と情熱は双方から来る。心を込めて映画を作るというのが最も大切なこと」と語った。

■過去の失敗を教訓にし ストーリーのローカライズに力を入れる必要性

近年、中国の映画市場では、作品の面白さを求める声が日に日に高まり、それに加えて、中日文化交流が一層盛んになっているのを背景に、日本の人気小説や人気映画、ドラマの中国での映画化、リメイク版製作の権利が、中国の映画製作会社の間で人気になっている。

2016年、蘇有朋(アレックス・スー)監督がメガホンを握った「容疑者Xの献身」は東野圭吾の人気小説が原作だった。しかし、同作品が公開された際には、「原作の日本人の思考パターンと中国の文化には一定の差がある。だから、ストーリーにも不合理なところがある」とコメントを寄せるネットユーザーがいるなど、うまくローカライズできていないという声が上がった。

小説家・片山恭一の「世界の中心で愛を叫ぶ」の中国語版映画も、興行収入が伸びなかった。情報コミュニティサイト・豆瓣での評価は4.2ポイントにとどまり、ネットユーザーからは、「中国人製作チーム+韓国人の監督+日本のストーリー=中国人観客に理解できない」などというつっこみを入れている。

推理作家・島田荘司の小説を原作とする「夏、19歳の肖像」は、入院していた少年が、向かい側に住んでいる少女の異様な様子を目にし、好奇心から危険な道に足を踏み入れていくストーリーだ。この作品は、人気アイドル・黄子韜(ホアン・ズータオ)が出演していたにもかかわらず、興行収入は全く伸びず、結局1千万元(約1億7000万円)にも届かなかった。

中国映画家協会の秘書長を務める、中国映画評論学会の饒曙光・会長は、「どの国の小説を映画化するにしても、ストーリーがカギとなる。映画化する時には必ず、ストーリーをローカライズしなければならない。これは、映画を製作する際の世界共通の方法。ストーリーをローカライズしなければ、見る人は共感を覚えることができない」と指摘した。 (編集KN)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携