<直言!日本と世界の未来>トランプ米大統領のアジア歴訪を考える=したたかな米中首脳、日本の外交はどうあるべきか―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2017年11月12日(日) 5時0分
米大統領歴訪で分かった米中首脳のしたたかさ、日本外交はどう対応?
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トランプ米大統領はアジアを歴訪し、日本、韓国、中国の3カ国首脳との一連の会談をこなした。トランプ氏はさすがスーパービジネスマン、習氏は強力な政治家そのもの。この2人を前に、今後日本の外交政策は厳しい局面を迎えそうだが、うまく切り抜けてほしい。
トランプ米大統領はアジアを歴訪し、日本、韓国、中国の3カ国首脳との一連の会談をこなした。アジア歴訪の最大の課題となった対北朝鮮政策を巡っては、日韓と「最大限の圧力」をかけることで一致。大きなカギを握る中国・習近平国家主席との会談では圧力継続を確認した。中国は、国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行を約束、米中首脳は北朝鮮が核放棄するまで制裁を継続することで合意した。北朝鮮に「最大限の圧力」をかけ、軍事攻撃を含むあらゆる選択肢を排除しない」とするトランプ大統領と「対話への努力」を求める習主席との間には温度差があるものの、日韓も含めた東アジア地域の「連帯と協力」を打ち出したのは成果と言えよう。

北朝鮮の核・ミサイル開発や世界各地の紛争などが、国際社会に脅威を与え、その結果、軍需産業が恩恵を受けていることは憂慮すべきことである。本コラム『<直言!日本と世界の未来>国際紛争、あくまでも外交努力が先決=世界主要国の軍事費を分析して分かったこと』(直言篇20)で書いたように、私は、軍拡競争を抑止して、経済再建、国民の福祉教育の向上に軍事予算を回すべきだと考えている。北朝鮮の核・ミサイル開発は言語道断だが、水面下のパイプがないまま、軍事力だけで対抗するのは抑制すべきだと考える。あくまでも外交的な手段で地域紛争を解決していただきたいと祈るような気持でいる。

「米国ファースト」を掲げるトランプ大統領にとって、日中韓との貿易不均衡の是正に向けた協議も今回歴訪の大きな目的だった。中でも米国の貿易赤字の半分近くを占める中国との協議が注目されたが、2500億ドル(28兆円)以上の商談成立という“手みやげ”を獲得。満面の笑みを浮かべ、「米中関係ほど重要な関係はない。私たちには世界の問題を解決する能力がある。米中はウィンウィンの関係を築く」と明言した。両首脳は記者会見でも、米中間の様々な分野で進行する協力の成果を強調。習主席は悲願であった米国との「新型大国関係」を内外にアピールすることができた。

世界の1、2位の経済大国である米中の首脳が称え合い、「世界に重い責任を担う」と表明したのは、世界の平和と繁栄のために大変喜ばしいことである。世界の平和と繁栄をめざす安定的な枠組みをどう築くか、米中両国には協調して描いてもらいたい。

安倍晋三首相が今回の日米首脳会談でトランプ大統領との緊密な関係をさらに強固にしたのは歓迎すべきことである。ベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などにあわせ、習近平国家主席やプーチン露大統領と会談、近隣諸国との関係改善に向け協議したが、この動きをさらに加速し、全方位外交を展開すべきである。懸案の日中韓首脳会議の年内東京開催にも努力していただきたい。

しかしトランプ大統領の今回の3カ国歴訪で懸念材料も浮かび上がった。韓国の文在寅大統領は日韓軍事同盟には参加しないことを明言。トランプ大統領歓迎晩さん会では、独島(竹島)エビをふるまったり、元慰安婦を参加させたりするパフォーマンスを演じた。米国の対日観が変化する恐れもある。

それにしても、我々日本人の目には、トランプ氏はさすがスーパービジネスマン、習氏は強力な政治家そのもので、ともに相当なしたたかさを感じた。この2人を前に、今後日本の外交政策は厳しい局面を迎えそうだが、生真面目でちょっと猪突猛進型の安倍さん、うまく切り抜けていただきたいね?
<直言篇28>

■立石信雄(たていし・のぶお)
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC=企業市民協議会)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。
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