<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・女子バスケ五輪テスト大会、中国がホームの利で強豪破る

Record China    2008年4月28日(月) 17時57分

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4月中旬の五輪テスト大会『黄金週間』ラストを飾るバスケットボール。その「国際招待戦」は26日の最終日、決勝で中国と米国が対戦。中国は、84−81で勝利。優勝を果たした。写真はWNBAと契約した2人目の中国人女子隋菲菲選手。

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NBA仕様…五輪バスケット館でテスト大会続く

4月中旬は五輪テスト大会の『黄金週間』。そのラストを飾る競技はバスケットボールだ。

中国でもサッカーと並んで人気を誇り、プロリーグも非常に盛んだ。ヤオミンやイ・ジエンレンをNBAに輩出した男子バスケが有名だが、女子のほうもアジアではトップレベル。今大会は、その女子の国際招待試合となる。6月に五輪最終予選を控える日本は出場しておらず、米国、キューバ、オーストラリア、韓国、ニュージーランドに開催国の中国を加えた6カ国が総当りで戦う。

19日(土曜日)から始まり、休養日を一日挟んで、今日23日は大会4日目。3日までは中国が3戦全勝で首位。アメリカが後を追うという展開だ。

今日は夜8時から、サッカーACLの鹿島vs北京戦が行われるため、主要なスポーツ記者はみんなそちらに行ってしまって、記者の数はやや少ない。それでも人気競技らしく、各社のバスケット番記者が数多くきていて、記者ルームも賑やかだ。

さて、女子バスケ日本代表が夏に登場する“かもしれない”「北京五輪バスケット館」は北京の西側、「ウークーソン」にある。あの星野JAPANが戦う五輪野球場に隣接しており、全体が黄土色の直方体で、縦の筋が細かく入った独特のデザインが特徴だ。運営側から配られた資料によると、この壁はオセアニア地区の砂岩が使用されていると言う。

地下3階、地上4階建てで、18000人収容。場内中央にはカラーのLEDディスプレーが置かれており、どの角度からも、迫力ある中継映像を楽しむことができる。また座席も、他の競技場の硬いプラスチック製の椅子と異なり、フワフワした「プチ豪華」なものだ。

場内のデザインは米NBAのノウハウが生かされているそうだ。そういえば、試合の運営、流れるBGM、アナウンスなど、いずれもNBA的な雰囲気がある。

いずれにしても、一言で言えば『豪華』なスタジアムだ。五輪後は大型の室内大会やコンサートなどに使われることになっているが、基本的にはバスケットボール専用スタジアムである。中国はバスケットが超人気スポーツで、ヤオミンがいないNBAも連日テレビ中継されているお国柄。中国バスケはすでにアジアではトップレベルだが、五輪を機に、米国に次ぐ世界のバスケ王国に成長しようとしており、その本拠地としてはふさわしい競技場である。

今日、中国はキューバと戦い、66−58で競り勝ち。全勝で、明日の米国戦を迎えることになる。

今年8月、女子日本代表が世界の強豪とともに、このコートに立てることを祈りつつ…。

■■■2008年04月27日■■■

バスケ五輪、中国男子は米国・スペインと同組

北京五輪のバスケットボールの組み合わせ抽選会が26日、本大会の会場となる「五輪バスケット館」で行われた。抽選はすでに五輪出場が決まっている男子9チーム、女子7チームが対象。開催国の中国は、元NBAプレーヤーのワン・ジジが抽選に参加し、自ら、米国をB組に引き当て、同組となった。

組み合わせは以下の通り。

男子 

Aグループ  イラン、リトアニア、アルゼンチン、ロシア、豪州(1チーム未定)

Bグループ  中国、アンゴラ、スペイン、米国(2チーム未定)

女子

Aグループ  韓国、オーストラリア、ロシア(3チーム未定)

Bグループ  中国、マリ、ニュージーランド、米国(2チーム未定)

なお、五輪には男女12チームが出場することになっており、未定の枠は男子が7月、女子が6月に行われる最終予選で決定する。

このうち、日本女子は6月中旬にスペインで行われる予選に出場することになっており、残りキップを争うことになる。そのため、最終予選終了後の7月に再度、抽選会が開かれ、組み合わせが全て決まる。

なお、組み合わせ抽選のあと、女子バスケ五輪テスト大会の決勝が行われ、中国と米国が対戦。中国が接戦の末、84−81で“前哨戦”をものにし、優勝を果たした。

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バスケ五輪テスト大会、中国がホームの利で強豪破る(現地レポ)

バスケットボールの五輪テスト大会「国際招待戦」は26日、最終日を迎え、決勝で中国と米国が対戦。予選リーグで敗れた米国に一矢報いたい中国は、前半から攻守に鋭い動きを見せ、試合の主導権を握り、84−81で勝利。優勝を果たした。

前半から、中国はすごい集中力だった。予選リーグ最後の米国戦とは打って変わった動き。前の試合では、シュートミスを序盤から連発し、ゲームにならなかったが、3階席まで埋まった観衆の「加油!中国」の大歓声があるこの試合は、選手たちも下手なプレーは見せられない。

ディフェンスもゴール際の攻防でしっかり主導権を握って、米国のミスを誘った。各選手の守りの集中力は秀逸だったと思う。米国は、前の対戦で見せたソツのない攻撃はなりを潜め、シュート、パスでミスを連発した。序盤は相手に3ポイントシュートをいくつか許したが、前半は米国に、遠目からのシュートを選択せざるをえない守りをしていたといえよう。

第1クォーターは完全に中国ペースとなり、27−17で終わった。

第2クォーターに入っても、中国の勢いは衰えない。チェン・ナン(197センチ)とリン・ダン(196センチ)の“巨人コンビ”がきちっと決めて、観衆の声援に応える。差がわずかに縮まったものの、中国が47−39でリードして、前半を折り返した。

だが、後半に入って、米国は目が覚めてきた。シュートの安定感を取り戻した米国は第3クォーター序盤に一気に逆転。一方、中国は前半面白いように決まっていたシュートの決定率が落ち始める。第3クォーターは61−63で米国リードに変わった。

ラストの第4クォーターは息詰まる接戦となった。米国が常にリードしつつも、中国は粘り強く追いつき、逆にリードしている米国のほうが焦りを感じているようにも見えた。残り5分で、中国が逆転。満員の歓声が一際ヒートアップしてくる。流れが一気に中国に傾くのが良く分かる。

米国のシュートは決定率が落ち、中国の攻撃陣に切れが出てくる。残り4分で中国は3ポイントを決め、米国を突き放しにかかった。米国の攻撃には、うなるようなブーイングが浴びせかけられ、決まっていたはずのシュートが外れる。残り2分で、中国が差を8点に広げる。たまらず米国がタイムアウトを取って、場を沈める。これが功を奏して、米国が連続得点し、残り1分で差が1点となる。

バスケットボールの面白みの一つは、素人的な考えだが、最小失点差で臨むラスト1分だと思う。残り30秒で2点差の中国リード。会場の大歓声が最高潮を迎える。残り12秒で米国がタイムアウトを取ったが、得点は縮まらず、このままゲーム終了。84−81で接戦を制して、優勝を果たした。

北京五輪本番での中国代表の“怖さ”を十分に感じさせた試合だったと思う。大音響の声援に包まれながら戦う試合は、その重圧に負けるか、それをパワーに変えてしまうか、そのどちらかだろうが、中国は後者なのだろう。「ホームの強さ」とはこういうものかと改めて感じさせる試合だった。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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