「中国で最も稼ぐ外国人作家」は東野圭吾、ハリポタ作者上回る―中国紙

人民網日本語版    2017年4月20日(木) 1時20分

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「中国で最も稼ぐ外国人作家ランキング」の創設者・呉懐堯氏は、「日本人作家が中国の読者の心を捉えているということは、文学の魅力に国境はないということで、意識形態を超えている」と話す。

「中国で最も稼ぐ外国人作家ランキング」の創設者・呉懐堯氏は、「日本人作家が中国の読者の心を捉えているということは、文学の魅力に国境はないということで、意識形態を超えている」と話す。華西都市報が伝えた。

推理小説とは少し違う「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は100万冊以上売れ、ネット上の話題をさらい、さらにはその他のシリーズ作品も大ヒットして、東野圭吾の中国での印税収入は2200万元(約3億5200万円)に達し、長年「中国で最も稼ぐ外国人作家ランキング」1位だった「ハリー・ポッターの生みの親」であるJ・K・ローリングを上回った。

外国の小説がネット上で大きな話題となっている背後には、その人気を陰で支える翻訳者の功績がある。いくら原作の内容が良くても、翻訳がしっかりしていなければ、それらの小説が日の目を見ることはなかっただろう。「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の翻訳者・李盈春さんは東野圭吾のファンで、2010年から推理小説のキングである東野圭吾の小説を翻訳している。「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を翻訳する際、李盈春氏は心の奥にある純粋な気持ちで、原作から感じられる温かさと癒しを中国の読者に伝えているという。

■「読んでみておもしろかったから翻訳引き受けた」

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を翻訳する時点で、李盈春さんは東野圭吾の作品をすでに4年翻訳しており、東野圭吾作品の「ベテラン翻訳者」となっていた。「東野圭吾の小説がずっと好き。出版社の新経典は東野圭吾の作品の版権をたくさん所有しており、『笑小説』シリーズである『怪笑小説』、『毒笑小説』、『黒笑小説』や『探偵倶楽部』、『むかし僕が死んだ家』などをこれまでに翻訳してきた。楽しく仕事をさせてもらい、双方とも満足しているので、これまでずっとタッグを組んできた」と李盈春さん。

このように、安定した一般的なパートナー関係を長期にわたり続けてきたため、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」がネット上で爆発的な大ヒットとなったことは、李盈春さんにとっては意外なことだった。「翻訳を担当するのに至った過程はとても淡々としていた。ある日、編集者に『こういう作品があるんだけど、翻訳してみる?』と聞かれて、日本のアマゾンでその評価を見てみると、わりと高い評価だったため、『目を通してみるので、送ってくれ』と答え、その後翻訳することにした」という。初めて同作品を読んだ時、李盈春さんは構想がとても巧妙で、温かいストーリーだと感じると同時に、東野圭吾のそれまでの作風とは異なると感じたという。

■ミリオンセラーの理由

東野圭吾の作品はずっと人気だったものの、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」がミリオンセラーになるとは、李盈春さんは想像もしていなかった。李盈春さんと仲間たちは、大ヒットの理由について分析し、「まず、癒し系の作品は現代社会においてとても人気がある。現代人は強いプレッシャーにさらされ、温かい癒し系の作品を好む。次に、推理小説は一部のグループにだけ人気で、推理小説が売れたとしても、そのグループ内で売れるだけ。その影響力には限りがある。しかし、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は推理小説の要素が少なく、完全な推理小説とは言えない。多くの人からすると、タイムスリップ、ミステリーの要素を持った、温かくて、おもしろい小説だといえる。推理小説が好きであるかどうかにかかわらず、多くの人に受け入れられる。最後に、東野圭吾はストーリー作りのプロ。そのストーリーは非常に魅力があり、人を引き付け、一気に読み終えたいという気持ちにさせる。それは本当にすごいこと」という結論に至った。

■東野のファンが東野の作品を翻訳

李盈春さんは、「私の所得にはほとんど影響がない。翻訳費は文字数でもらっている。もし、版権を持っているのなら、かなり儲かっただろうけど」と話し、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の大ヒットによる金銭的な影響はなかったものの、生活は大きく変化したようで、「08年から今までに10作品以上の小説を翻訳しているが、それを読んでいる周囲の同僚や友人はほとんどいない。しかし、昨年末に年間図書ランキングが発表されたころのある日、同僚3人から、『ナミヤ雑貨店の奇蹟を翻訳したんだよね』と聞かれた。『同名の翻訳者だと思ったら、本当に君が翻訳した小説だった』と話す友人もいた。身近な知り合いがミリオンセラーの翻訳者であるというのも、とても不思議な体験だろう」とした。

現在、母親になった李盈春さんは東野圭吾の別の作品を翻訳中で、「初期の小説の中でもおもしろい作品。私が初めて読んだ東野圭吾の作品で、当時はあまり推理小説を読んでいなかったためか、とても感激したのを覚えている。その作品を自分の手で翻訳する日が来るとは思ってもいなかったので、記念すべきこと」と話す。さらに、山田宗樹の小説の翻訳も決まっているとし、「ハリウッド大作のようで、とてもおもしろい。当時、日本語版を読んだ時は我慢できずに一気に最後まで読んだ。翻訳の話が来た時にはすぐに引き受けた。その作品の中国語版の刊行もとても楽しみにしている」という。

ちなみに、「中国で最も稼ぐ外国人作家ランキング」は、外国人作家の中国での印税収入を調査し、その作品の中国図書市場における実際の売れ行きを反映している。(提供/人民網日本語版・編集KN)

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