<直言!日本と世界の未来>上司は部下の出世に喜びを!=日本企業で「熱意ある社員」わずか6%の衝撃―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2017年6月17日(土) 8時40分
「熱意ある社員」わずか6%「帰属意識」はどこに?―オムロン元会長
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日本の会社員はかつて、勤務先への帰属意識が高くて「会社人間」と言われたこともある。ところが米調査会社ギャラップが世界各国の企業を対象に最近実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査結果は衝撃的だった。
日本の会社員はかつて、勤務先への帰属意識が高くて「会社人間」と言われたこともある。ところが米調査会社ギャラップが世界各国の企業を対象に最近実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査結果は衝撃的だった。それによると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%と、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。

この調査によると、企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達したという。仕事への熱意がなぜここまで低下したのか。どうすれば改善できるのか。

日本経済新聞(5月26日付)によると、ギャラップのジム・クリフトン会長兼最高経営責任者(CEO)はその背景と改善策について次のように語っている。

――日本ではなぜこれほど「熱意あふれる社員」の割合が低いのですか。
 「日本は1960〜80年代に非常によい経営をしていた。コマンド&コントロール(指令と管理)という手法で他の国もこれを模倣していた。問題は(1980〜2000年ごろに生まれた)ミレニアル世代が求めていることが全く違うことだ。ミレニアル世代は自分の成長に非常に重きを置いている」
 「それ以上に問題なのは『不満をまき散らしている無気力な社員』の割合が24%と高いこと。彼らは社員として価値が低いだけでなく周りに悪影響を及ぼす。事故や製品の欠陥、顧客の喪失など会社にとって何か問題が起きる場合、多くはそういう人が関与している」

――どうすれば改善しますか。
 「主な原因は上司にある。上司の言ったことを、口答えせずに確実にやれば成功するというのが従来のやり方だった。このマインドセットを変えないといけない。上司と部下が一緒になってどう結果を出すか、部下をどうやって成長させていくかを考えることが上司の仕事になる」
 「それには部下の強みが何かを上司が理解することだ。これまでは弱みを改善することに集中するのが上司の仕事だったが、得意でないことが強みに変わることはない。無気力な社員の半数は自分に合っていない仕事に就いている。合った仕事に変えるだけで無気力な社員を半分に減らせる」

――米国でマインドセットが変わったのはいつごろですか。
 「15年ほど前に動きが始まった。それまでは大手テレビ局も3つ、自動車メーカーも3つ、航空会社も3つと、どの業界も寡占で安定していた。自由化が進んで厳しい状況に追い込まれ、強みを伸ばすことに注力したことで、米国では『熱意あふれる社員』の割合が高まり生産性も上がった。強みを伸ばし熱意ある社員を増やせば業績向上につながることは当社の顧客の事例から証明されている」

――日本企業も変われますか。
 「日本企業は今、厳しい状況にある。私は過去20年で10回訪日した。当初は日本のリーダーはマインドセットの変革に興味を示さなかったが、今回来日した際の興味の高さに驚いた。生産性を高めることに対する危機感が強い。大きな変革は困った状況にならないと起きないという点で、今は逆にチャンスだ」

ギャラップ社のジム・クリフトン会長の指摘は正しいとは思う。ただ私が常々思っているのは(1)「上司と部下」の関係の在り方が健全か、すなわち上司と部下が常に会話ができて風通しがいいか(2)部下の指導に当たって、部下が自分以上の能力を身につけて自分を追い越し出世してくれることに喜びを感じられるか―ということが大切ではないかと思う。

■立石信雄(たていし・のぶお)
1936年大阪府生まれ。1959年同志社大学卒業後、立石電機販売に入社。1962年米国コロンビア大学大学院に留学。1965年立石電機(現オムロン)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。日本経団連・国際労働委員会委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)「The Taylor Key Award」受賞。同志社大学名誉文化博士。中国・南開大学、中山大学、復旦大学、上海交通大学各顧問教授、北京大学日本研究センター、華南大学日本研究所各顧問。中国の20以上の国家重点大学で講演している。
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