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「いつか必ず仇を討つ」と思っていたが、日本を訪れてそのイメージは崩れていった―中国人学生

配信日時:2015年10月9日(金) 8時58分
「いつか必ず仇を討つ」と思っていたが、日本を訪れてそのイメージは崩れていった―中国人学生
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中国では反日的な考えを持っている人が多いが、西安交通大学の于添さんのように、実際に日本人と接してみた結果、その考え方に変化が現れるという人も少なくない。資料写真。
中国では子どものころから抗日戦争について教えられたり、毎日のように放送される抗日ドラマを見たりしている影響で、反日的な考えを持っている人が多い。しかし、西安交通大学の于添さんのように、実際に日本人と接してみた結果、その考え方に変化が現れるという人も少なくない。

中国東北地方の小さい町で育てられた私が、物心が付いた時から人に教えられたものは無残な日中戦争のことばかりだった。日本人が来ると、殺りく、強姦、放火、略奪など、悪事の限りを尽くしたということを聞かされて育った。正直に言って、日本に対して親近感どころか、まるで永遠の敵のように思い、「いつか必ず仇を討つ」という考えがいつの間にか芽生えてしまっていた。その考えを抱きながら私は高校生になり、そして自分にとって人生のターニングポイントを迎えた。

高校2年生になった時、ちょうど日中青少年友好交流年にあたった。私は日本国際交流基金主催の日中高校生友好交流の「より良い明日へ」というテーマの活動で選ばれて訪日団のメンバーの1人になった。その時は行くか行かないかさんざん迷っていたが、最後は「敵情視察」のような覚悟で日本の土を踏んだ。

成田空港に着いたときは大雨だった。私の故郷では、こんな雨が降ったらきっと川のような水溜まりがあちこちにできるが、東京では水は少しもたまらなかった。排水システムの良さを見て日本の都市インフラに感心した。迎えに来たガイドさんは40代の女の人で、ずっと笑顔で親切にみんなの入国手続きを手伝ってくれる。運転手さんも、微笑みを浮かべてみんなとあいさつしてくれる。彼らの微笑みは心からのものだと感じ、見るだけで温かくなった。

日本がこのように私たちを迎えてくれるとは思いもよらなかった。実際に目の前に広がった日本の姿と自分の頭の中で想像していた日本のイメージの差はあまりに大きすぎたから、自分が長年にわたってこだわっていたものが揺れ始めたのを感じた。

日本の綺麗な町並み、礼儀正しく親切な人々、豊かな自然などを自分の目で見ているうちに、以前聞かされた血が通っていない日本人のイメージは、だんだん崩れていった。そして生活を愛して、人に親切にして暮らしているイメージに変わっていった。そのため、来る前に最も期待していなかった日本の高校の見学は、一番の楽しみになった。日本に来るまで私はずっと大多数の中国人のように自分のことを歴史の「被害者」の立場に置いていたから、日本人との交流はできればしたくなかった。けれど、今はこちらから交流したいと思っているから、きっと楽しくおしゃべりできるはずだと思った。

ところが、そう思ってこちらから英語で声をかけても、相手はただ会釈するだけであまり返事がもらえない。目を合わせてもすぐ逸らされる。その時初めて、中国人が日本人を目の敵にするだけではなく、日本人も中国人にあまり好印象を持っていないのだということを意識した。「そうか、お互いに偏見と誤解を持っているんだ。じゃ、今、目の前の日本人と交流出来るチャンスがあるのだから、勇気を出して交流しよう。自分の気持ちを伝えたい。彼らの考えを知りたい。お互いに理解し合いたい」。そう思って一生懸命話しかけた。

私の気持ちはちゃんと伝わったのだろう、雰囲気はだんだん明るくなっていった。話し合って初めて、私たちは国籍が違ってもそれほどの差はないということに気づいた。別れ際にはもう友達になり、メールアドレスを交換して「絶対連絡するよ」と別れを惜しんだ。心を込めて交流すれば理解し合えるとつくづく感じた。

帰国後、私は自分の日本での体験を多くの人に語った。そして私を通じて周りの人も日本人に対するイメージが変わっていった。学生たちが身をもって行う真の日本との交流はまるで水面に石を投げ込んだ時の波紋のように広がっていく。一人の考えを変えるだけではなく、それをきっかけに周囲の人も変わり、やがて大きな変化に至る。今後、日中両国は青少年間の交流をさらに重視し、より多くの活動を行うなら、きっと進んでいくはずだ。より良い明日へ。(編集/北田)

※本文は、第八回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?」(段躍中編、日本僑報社、2012年)より、于添さん(西安交通大学)の作品「より良い明日へ」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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