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<書評>街道500キロ歩きで分かった「課題先進国・日本」の厳しい現実―『東海道を歩こう、地域を見よう、日本を語ろう』日下淳著

配信日時:2015年9月27日(日) 14時19分
<書評>街道500キロ歩きで分かった「課題先進国・日本」の厳しい現実―『東海道を歩こう、地域を見よう、日本を語ろう』日下淳著
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6年かけて日本橋から京都まで東海道を走き切り、各地で見聞きした内容をまとめたもの。自ら撮影した数百枚に及ぶ写真や図表を配し、ビジュアルな旅行案内書として有用だが、世に多く出回っている地理や歴史をただ解説したいわゆる“東海道本”とは大きく異なる。
日本の表街道、東海道53次。道中には風光明媚な場所や有名な名所旧跡が多く、浮世絵や和歌・俳句・文学の題材にもしばしば取り上げられた。広重の浮世絵や弥次さん喜多さんが登場する十返舎一九「東海道中膝栗毛」はとくに有名だ。

本書は国際派ジャーナリストの著者が、仕事の合間に6年かけて日本橋から京都まで歩き切り、各地で見聞きした内容をまとめたもの。自ら撮影した数百枚に及ぶ写真や図表を配し、ビジュアルな旅行案内書として有用だが、世に多く出回っている地理や歴史をただ解説したいわゆる“東海道本”とは大きく異なる。

街道500キロを歩き続ける中で、目に飛び込んできた事象や光景を見過ごさず、多くの課題に鋭く切り込んでいる。日本の経済社会が直面する、地方問題、高齢化、農業、災害、グローバリゼーション…。「課題先進国・日本」の厳しい現実が迫ってきた、と著者は振り返る。

「街道沿いで、看板が新しい感じがする建物は、携帯ショップや介護関連施設が多かった。宿泊したホテルでは中国人など外国人団体客を見かけた。高齢化、国際化、地域活性化、環境問題―行く先々で『日本の断面』が見えた」と記す。東海道を歩き始めた翌年に東日本大震災が発生、海沿いを歩くといやでも「海抜〇メートル」の表示が目に付いたという。課題を列挙して日本の行く末を懸念する一方、暗くなっても安心して歩ける「安全安心」は特筆すべきだ、と強調している。

本書の内容は多岐にわたり、日本の過去・今・未来の姿を手軽に知ることができる。巻末にまとめられた「東海道からみえる日本100のキーワード」「東海道沿いの自治体・基本情報」は論考を理解する上で役に立つ。30年以上前の高度成長時代との比較論も展開され、「東海道ウォーク」の主体となっている中高年世代が、往時を懐古することも可能だ。

東海道は基本的には豊かな地域である。奥州道、中山道歩きなどにも挑戦し、過疎化や農業、環境問題など、さらに厳しい現実に直面する地域を、ジャーナリストの眼でリポートしてほしい。(評・八牧浩行)

日下淳著『東海道を歩こう、地域を見よう、日本を語ろう―街道500キロが映す平成ニッポン』(講談社エディトリアル刊、1200円税別)
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