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「今の生活を大切に」戦争を経験した祖父の重い言葉―中国人学生

配信日時:2015年8月22日(土) 21時5分
「今の生活を大切に」戦争を経験した祖父の重い言葉―中国人学生
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参議院で審議中の安保法案をめぐって、各界で論争が続いている。「戦争」と「平和」にどう向き合うかが、改めて問われているなか、湖北大学の李欣晨さんが記した作文からは、国籍を超えた「平和」への願いが伝わってくる。写真は米ワシントンの朝鮮戦争戦没者慰霊碑。
参議院で審議中の安保法案をめぐって、各界で論争が続いている。「戦争」と「平和」にどう向き合うかが、改めて問われているなか、湖北大学の李欣晨さんが記した作文からは、国籍を超えた「平和」への願いが伝わってくる。

幼い頃から夜空に対して特別な感情を抱いている。私の心に焼き付いているのは、夜空の下で昔の物語を話してくれた、穏やかで優しい顔つきの祖父である。月日が流れ、幼い私も成長するにつれてさまざまなことが分かるようになった。祖父はもともと軍人であり、朝鮮戦争に出たことや、功績によって勲章を与えられたことも知った。しかし、日ごろ優しく穏やかな祖父と戦争とはどうしてもつながらなかった。

中学生の時のある夏休み、腰の持病が再発した祖父を見舞いに行った。マッサージをしてあげた時、背中の目立つ傷痕が目に入った。「おじいさん、背中の傷跡はずいぶんひどいね」と思わず言った。「ああ、それは戦争の時、炸裂した砲弾の破片に傷つけられたんだよ」と祖父は答えた。「痛かったでしょう」と私が言うと、「ま、あの時はこれぐらいの傷は気にもしなかったよ」と祖父は言った。聞きたいことがたくさんわいてきたが、言い出せなかった。それは苦しい記憶を思い出させたくないと思ったからである。

その後、祖父から戦争の話を聞く機会があった。さっきまでぴんぴんしていた友人が、あっという間に目の前で亡くなったことや、すぐそばで砲弾が炸裂したこと、銃弾の雨あられのなかを進んだことなどを語ってくれた。安心して眠ることさえできず、毎日不安と恐怖にさらされていたそうだ。いつ、どこで自分の命を失うかもわからない。それでも、祖父は戦い抜いた。そして、祖父は話の最後にこう言った。「今のような生活を過ごせるのは決して容易なことではない。大切にすべきだ」と。祖父のひと言は私の胸に深く響いた。

世界の長い歴史において、戦争は常に消そうにも消せない影としてある。戦争のせいで、無辜の民は辛酸を嘗め尽くし、飢餓や病魔に堪えて、希望の見えない未来に臨んだ。ある雑誌でこんな話を知った。第2次世界大戦が終結して間もなく、アメリカの婦人たちがドイツ兵の墓に花を捧げたのである。どうしてかつての敵国にそんなことをするのかと尋ねたら、「彼らも私たちのような母の子ですから」と答えた。別れの苦しみに耐えて息子を戦場に送った母親たちは、前線にいる息子の安否を気遣ってやまなかった。だが、最後に待ちに待った団らんの代わりに、戦死の知らせが届いたのである。そういう苦痛を同じく味わった母親たちだからこそ、敵味方の分け隔てなく生命の貴重さが感じ取れるのだろう。

日中両国間にもかつて戦争があった。そのせいか、両国民は先入観をもってお互いに悪いレッテルを貼り合っている。このようなマイナスの雰囲気に直面する度に、祖父のひと言が常に思い出される。「今の生活を大切にすべきだ」。ごく平凡なひと言だが、そこに含まれた重みをつくづく感じさせられる。

人間というものは身の周りにあふれている幸せを軽んじがちである。過去の戦争で無数の人々が命を投げ出したのは、「平和な生活を過ごすために」という願いのためだったはずだ。現在、この願いは日中両国ではすでに実現されている。それなのに、過去の影に縛られて互いに罵り合い、頭上の明るい光に気づかないとは、なんと嘆かわしいことであろうか。それより、憂いなく、昇った朝日の光を浴びることや、家族で食事することなどの日常生活の潤いに感謝すべきだ。地下で永遠の眠りにつく犠牲者が望んだのは、戦争から生じた互いの悪いレッテルを貼り合うことではないだろう。(編集/北田)

※本文は、第八回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?」(段躍中編、日本僑報社、2012年)より、李欣晨さん(湖北大学)の作品「幸せな現在」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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